税理士法人森田事務所 > 記事一覧 > 相続税が払えない時はどうしたらいい?注意点も併せて解説
故人の遺言などによって遺産を相続したものの、状況によっては相続税が支払えない可能性があります。
この記事では、相続税が支払えないときの対処法について解説します。
相続税が支払えないときには以下の方法で対処できる可能性があるので、詳しくみていきましょう。
「延納」とは、原則として相続税は現金一括納付ですが、一定の条件を満たすことで分割払いを認めてもらえることです。
延納できる条件は以下の4つです。
担保提供関係書類とは、財務省令で定められた担保の提供に関する書類です。
延納申請書とは、延納を求めようとする税額および期間、分納税額とその納期限、財務省令で定められた事項を記載した申請書です。
また、相続税を金銭で納付することが困難な場合は、相続財産の中から「物納」することも可能です。
ただし、「物納」する場合は以下の物と定められています。
物納する際には、相続人が保有する不動産や価値のある貴金属・骨董品などは認められないので注意してください。
相続税を支払えない場合は、遺産を売却して現金化する方法があります。
不動産や株などを売却すれば現金化できるかもしれません。
ただし、遺産分割協議で相続できたものに限定されるため、他の相続人の不動産などを売却することはできないので注意してください。
また、不動産はすぐに売却できるどうかは不明確であり、相続した時点の評価額よりも低額で売却することになるかもしれません。
遺産を売却できず現金化できない場合や売却してもお金が足りないときは、金融機関でお金を借りることも検討する必要があります。
例えば、代々継承されている土地や家であれば売却したくてもできないケースもあるでしょう。
その際は、状況に応じて金融機関などからお金を借りることもご検討ください。
遺産を相続することで相続税が支払えないときは、相続放棄もできます。
相続放棄とは、相続に関するすべての権利を放棄することです。
そのため、相続税が支払えないからといって判断を誤ると、結果的に損をする可能性があるので注意してください。
相続税は原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に金銭で一括納付が義務付けられています。
そのため、納付期限までに支払えないときは、延滞税が課せられます。
また、延納や物納などの納付延長の許可を得た場合でも、納付期限までに支払えないときは利子税が加算されます。
延滞税とは、税金が定められた期限までに納付されない場合、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課せられる利息に相当する税金のことです。
延滞税の税率は以下のように定められています。
納期限までの期間および納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が適用されます。
また、納期限の翌日から2カ月を経過する日の翌日以降については、年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合が適用されます。
延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として、各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に年1%を加算した割合です。
利子税とは、延納もしくは物納、または納税申告書の提出期限の延長に係る国税については、その期間中に各税法上の規定により、その国税にあわせて納付する税金のことです。
利子税は以下のように定められています。
延納などに係る利子税は、第1回に納付すべき分納税額を納付する場合は、当該延納税を基礎とし、当該延納の許可を受けた相続税額の規定による納期限または納付すべき日の翌日から当該分納税額の納期限までの期間に応じて年6.6%を乗じて算出した金額に相当する利子税を納付しなければならない。
また、物納などに係る利子税は、当該物納に係る相続税額の規定による方期限または納付すべき日の翌日から規定により納付があったものとされた日までの期間につき、当該相続税額を基礎として当該期間に応じて年7.3%を乗じて算出した金額に相当する利子税を納付しなければならない。
今回は、相続税が支払えないときの対処法について解説しました。
相続税には非課税枠があり、相続税の対象となる評価額に対して最低でも3,600万円の控除が受けられます。
相続税が支払えない状況は起こってほしくありませんが、相続税について不安や心配ごとを抱えているようであれば、税金の専門家である税理士に相談することをおすすめします。