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相続税の申告期限は?遅れた場合のペナルティはある?

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相続が発生すると、相続人・相続財産の調査や遺産分割などさまざまな手続きが必要です。
相続手続きのひとつである相続税の申告には期限が定められているため、遅れると罰則があります。
今回は、相続税の申告期限、遅れた場合のペナルティを解説します。

 

相続税の申告期限

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
「相続の開始があったことを知った日」とは、被相続人が亡くなった日で、自己が相続人となった事実を知り得た日を指します。
ただし、孤独死や失踪など状況によっては亡くなった日を遅れて知ることもあり、ほかにも以下のようなケースが存在します。

  • 相続が開始されたときに胎児であり、無事に生まれた事実を法定代理人が後日に知り得た場合
  • 相続人以外が遺贈により財産を取得する場合
  • 弁護能力のない幼児の法定代理人が何らかの事情で相続開始日以降に死亡した事実を知り得た場合

 

相続税の申告期限日が土日祝日である場合

相続税の申告は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署で行います。
しかし、10か月後の相続税の申告期限日が、土日・祝日で税務署がお休みの場合もあるでしょう。
その場合は、相続税の申告期限日は、後ろ倒しになり、休み明けの日が相続税の申告期限日になります。

 

相続税の申告期限の延長は原則認められない

相続の手続きには、相続人や相続財産の調査、遺産分割協議など多岐にわたるため、必要書類の収集に時間を要したり、相続人と連絡が取れなかったりなど思うように進まないこともあります。
相続税の申告期限を延ばせないのかと悩まれるでしょうが、原則として延長はできません。
しかし、どうしても間に合わない場合は一旦法定相続分で分割したことにする「未分割申告」を相続税の申告期限内に行います。
その際に、「申告期限後3年以内の分割見込書」の添付が必要です。
申告期限後3年以内の分割見込書を提出することで、遺産分割が確定後、先に行った申告を修正する手続き(修正申告または更生の請求)を行えます。

 

被災した場合の相続税の申告期限の延長措置

地震や台風などで被災し期限内の申告が困難になった場合、心に留めておきたいのが申告期限の延長措置です。
状況が落ち着いた段階で、所轄の税務署に相談することをおすすめします。

 

相続税の申告期限に遅れた場合のペナルティ

万が一相続税の申告期限に遅れた場合、以下のようなペナルティが課せられる可能性があります。
相続税の申告期限の通知書が自宅に届くわけではないため、申告期限をしっかり把握しておくことが大切です。

  • 無申告加算税
  • 延滞税

それぞれ詳しく確認していきましょう。

 

無申告加算税

無申告加算税とは、正当な理由なく、期限までに相続税の申告を行わなかった場合に課される税金です。
相続税の対象になると知らなかった、という故意ではない場合でも課税されます。
相続税の無申告加算税の税率は、どのタイミングで申告を行ったかにより変わってきます。

 

申告期限後に自主的に申告した場合

申告期限が過ぎたあとに自主的に申告を行った場合、追加納付した相続税額の5%が課されます。
ただし、申告期限が過ぎていても1か月以内に申告を行い、期限内に申告する意思があったと認められる場合には、無申告加算税が免除される可能性もあります。

 

税務調査の事前通知を受けてから、税務調査を受けるまでに申告した場合

税務署から税務調査の通知を受けてから、実際に税務調査が入る前に申告した場合、追加納付した相続税額の10%が課されます。
なお、追加納付額が50万円を超える部分に対しての税率は15%です。

 

税務調査によって無申告が発覚した場合

税務調査によって、無申告であると発覚してから申告した場合、追加納付した相続税額の15%が課されます。
なお、追加納付額が50万円を超える部分に対しての税率は20%です。

 

延滞税

延滞税とは、相続税の申告期限までに納付できなかった場合に課せられる税金です。
申告期限日の翌日から、実際に納付が完了した日までの日数に応じて課税されます。

 

延滞税の税率は2段階ある

相続税の延滞税の税率は、納期限の翌日から2か月をボーダーラインとして2段階に分かれます。
原則として「納期限の翌日から2か月までは年7.3%」となっており、「納期限の翌日から2か月経過した以降は年14.6%」です。
なおかつ、申告期限までに申告と納税のどちらも行っていない場合には、無申告加算税と延滞税の両方のペナルティが発生します。

 

まとめ

今回は、相続税の申告期限と、申告期限に遅れた場合のペナルティなどについて解説しました。
相続税の申告期限は相続があったことを知った日から10か月以内ですが、ほかにもやるべき相続手続きは多いため、余裕があるとはいえません。
相続税の申告期限に間に合うかどうか不安である場合は、税理士に相談することも検討してみてください。