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数次相続とは?相続税申告の注意点も併せて解説

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相続は1度きりのものと思われがちですが、実際には短い期間に相続が連続して発生するケースがあり、これを「数次相続」と呼びます。
数次相続が起きると、相続人や財産の範囲が複雑に入り組み、遺産分割協議や相続税の申告手続きも通常より難しくなります。
誰がどの財産を引き継ぐのか、どの時点で相続税を申告・納付するのかといった点でトラブルが生じやすいため、事前準備が欠かせません。
今回は、数次相続の基本的な仕組みから、相続税申告で気をつけるべきポイントまでわかりやすく解説します。

 

数次相続とは

数次相続とは、1度相続が発生した後に、相続財産を受け継いだ相続人が亡くなり、さらに次の相続が発生する状況を指します。
簡単にいえば、「短い期間に相続が連続して起きる状態」です。
たとえば、父が亡くなり母と子が財産を相続した後、その母が相続手続きを終える前に亡くなってしまう場合などが該当します。
上記の場合、父の財産と母が受け継いだ財産が重なって相続されるため、子にとっては「父の相続」「母の相続」が続けて発生することになります。
数次相続は、「二次相続」「三次相続」といった形で複数回起こるケースも珍しくありません。
そうした場合、相続人の範囲が複雑になったり、遺産分割協議が長引いたりします。
相続税の計算や申告も通常より難しくなるため、早い段階での専門家への相談が欠かせません。

 

数次相続と相次相続の違い

相次相続は、相続手続きが終わった後、短期間のうちにさらに別の相続が発生するケースを指します。
父の相続が完了して母が財産を受け継いだ直後に、母が亡くなり、再び子どもが相続する場合などが該当します。
両者の違いは「一次相続の処理が終わっているかどうか」です。

 

数次相続が起きた場合の手続きの流れ

数次相続が発生すると、複数の相続が絡み合うため通常の相続より手続きが複雑になります。
基本的な流れは、以下のとおりです。

①相続人と相続財産の確定
②遺産分割協議の実施
③名義変更・相続登記
④相続税の申告・納付

それぞれ確認していきましょう。

 

①相続人と相続財産の確定

まず、一次相続と二次相続それぞれについて、誰が相続人になるのかを確定します。
遺産分割協議を行う場合、相続人全員の参加が必須です。
相続人が1人でも欠けていると、その協議は無効になってしまいます。
数次相続では一次と二次の相続人が入り混じるため、誰が協議に参加すべきかを最初に明確にしておくことが大前提です。
相続財産も、「一次相続分」「二次相続分」に区分して洗い出しましょう。

 

②遺産分割協議の実施

次に、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。
数次相続の場合は、1つの協議書にまとめるか、別々に作成するかの2つの方法があります。

 

③名義変更・相続登記

協議内容に基づき、不動産の相続登記や銀行口座の名義変更などを行います。
数次相続では、1度父から母へ相続させてから子に移すのではなく、最初から最終的な承継者へ直接移転登記する「中間省略登記」が可能な場合があります。

 

④相続税の申告・納付

相続税は、それぞれの相続ごとに申告義務が発生します。

 

数次相続で相続税申告をする際の注意点

数次相続で相続税申告をする際は、以下の3つのポイントに注意してください。

  • 基礎控除の考え方は変わらない
  • 相続税申告の期限が延びる
  • 二次相続では「相次相続控除」を利用できる

それぞれ解説します。

 

基礎控除の考え方は変わらない

相続税は「基礎控除額」を差し引いた残りの部分に課税されます。
控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算され、相続人の人数が増えればその分控除枠も大きくなります。
ただし注意したいのは、数次相続が発生したからといって控除額が増えるわけではない点です。あくまで被相続人が亡くなった時点での相続人の人数を基準に計算するため、後から発生した相続の影響で控除額が修正されることはありません。
たとえば父の相続では、母・長男・次男の3人が相続人なら、控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となり、数次相続が発生しても後から増えないため注意してください。

 

相続税申告の期限が延びる

通常、相続税の申告期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。
しかし申告義務を負うひとが期限前に亡くなってしまった場合には、その相続人が代わりに申告を行わなければなりません。
上記の場合、新たな申告期限は義務者の死亡を知った日から10か月以内に延長されます。

 

二次相続では「相次相続控除」を利用できる

二次相続の相続税申告では、相次相続控除が適用できるケースがあります。
相次相続控除とは、被相続人が亡くなる10年以内にすでに相続財産を受け継いでおり、その際に相続税が課税されていた場合に利用できる仕組みです。
同じ財産に二度課税されることで負担が重くならないよう、一定額を差し引いて調整できるようになっています。
数次相続では、短期間で相続が繰り返されることが多いため、控除を適切に活用すれば税額の軽減につながります。

 

まとめ

数次相続は、相続が短期間に続けて発生し、相続人の範囲や財産の承継関係が複雑になりやすいのが特徴です。
相続人同士だけで対応しようとすると混乱を招きやすい分野になります。
トラブルや余計な税負担を防ぐためにも、早い段階で弁護士などの専門家に相談し、スケジュールと手続きを整理しながら進めるのが重要です。