税理士法人森田事務所 > 記事一覧 > 相次相続控除とは?概要や計算方法などを解説
相続の手続きを終えて間もない時期に、別の家族の相続が発生することを相次相続といいます。短期間に繰り返される相続税の支払いは、遺族にとって大きな負担となりかねません。
このような場合に用意されているのが相次相続控除という制度です。
本記事では、相次相続控除の仕組みや適用要件、そして控除額を算出するための計算ルールなどについて解説します。
相次相続控除とは、短い期間に相続が立て続けに発生した場合に、相続人の税負担が重くなりすぎないよう調整するための制度です。
たとえば、父親が亡くなり、その数年後に母親が亡くなったケースがこれに該当します。
このとき、母親は1次相続で取得した財産に対してすでに相続税を支払っています。
その財産をさらに子が相続する際、再び全額に課税されると、短期間で財産が大きく減ってしまいます。
これを防ぐため、1次相続で課税された税額のうち、一定の金額を2次相続の税額から差し引くことが認められています。
この制度は、同じ財産に対して短期間に何度も課税されることによる、過度な資産の減少を食い止めることを目的としています。
相次相続控除を受けるためには、主に以下の要件をすべて満たしている必要があります。
つまり、前回の相続で税金を支払った本人が10年以内に亡くなり、その財産をさらに法定相続人が引き継ぐ場合に適用されるルールとなっています。
控除できる金額は、前回の相続で支払った相続税額をベースに、経過した年数に応じて算出されます。
計算の基本となるのは、1年につき10%ずつ控除額が減っていくという考え方です。
1次相続から2次相続までの期間が短いほど、多くの税額を差し引くことができます。
たとえば、1次相続から3年後に2次相続が発生した場合、1次相続で納めた税額のうち70%相当が控除の対象となります。
これが5年後であれば50%、9年後であれば10%と、1年経過するごとに減額されます。
正確な控除額の算出には、前回の相続時の申告書や、今回の被相続人が取得した財産価額、今回引き継ぐ相続人の財産割合などを用いた計算が必要となります。
この制度を活用して正しく節税を行うためには、いくつか注意すべきルールが存在します。
見落としがちな3つのポイントを確認していきましょう。
相次相続控除は、相続人ごとに個別に計算されるものであり、余った控除額を他の相続人に分け与えることはできません。
たとえば、長男と長女が相続人である場合、それぞれの納税額から、各人の引き継いだ割合に基づいた控除額を差し引きます。
もし長男の相続税額よりも算出された控除額の方が大きくなり、枠が余ってしまったとしても、その余った分を長女の税金から差し引くといった調整は認められていません。
あくまで各相続人が、自分が納めるべき税金の範囲内で、直接受けることができる権利であることを理解しておく必要があります。
相続放棄をした人は、法律上の相続人ではなくなるため、相次相続控除を利用することはできません。
たとえ遺言によって財産を受け取ったとしても、相続放棄をしていればこの控除の適用外となります。
ただし、相続放棄をした人の子供が代襲相続人として財産を引き継ぐ場合には、その代襲相続人は法定相続人としての要件を満たせば控除を受けることが可能です。
多額の借金がある場合などを除き、相続放棄を選択するとこうした控除や特例が使えなくなるデメリットがあるため、慎重な判断が求められます。
相次相続控除を受けるためには、相続税の申告期限までに、必要書類を添えて申告を行うことが求められます。
申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
申告時には、前回の相続の際の申告書の写しなど、1次相続でいくら納税したかを証明する資料が必要となります。
もし申告後にこの制度の存在に気づいた場合でも、申告期限内であれば訂正が可能です。 期限を過ぎた後でも更正の請求を行えるケースはありますが、手続きの煩雑さを避けるためにも、最初から適用して申告を済ませるのが理想的です。
前回の申告内容が不明確だと手続きが遅れる原因となるため、過去の書類は大切に保管しておくようにしましょう。
相次相続控除は、10年以内に相次いで家族を亡くされた方の税負担を軽減してくれる大切な制度です。
適用期間が短いほど効果が高いため、特に数年の間に不幸が重なった場合には、検討すべき項目といえます。
ただし、適用要件の確認や正確な控除額の計算は、過去の申告書との照らし合わせも含めて専門的な知識を要します。
短期間に重なる相続で大変な時期かとは思いますが、大切な資産を守るために、まずは1度専門の税理士までご相談ください。