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生前贈与とは?メリット・デメリットも併せて解説

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相続対策の話になると、よく耳にするのが「生前贈与」です。
名前は知っていても、仕組みまで理解している人は少ないかもしれません。
今回は、生前贈与の基本的な仕組みからメリット・デメリットまで解説します。

 

生前贈与とは

まずは、生前贈与の基礎知識を解説します。

 

生前贈与の基本的な仕組み

生前贈与とは、財産を持っているひとの死亡前に、自分の財産の一部を他人に無償で譲る行為です。
特に家族や親族に対して行われることが多く、相続税対策の一環として活用されるケースも多くあります。
贈与を受けたひとは、一定の条件を超えると贈与税がかかります。
贈与税は、財産を受け取った側に課税される税金です。
毎年110万円の基礎控除が設定されており、それを超えた分に対して課税されます。
たとえば、ある年に親から子どもへ150万円の贈与をした場合、110万円を超える40万円分に対して贈与税が課税されるという仕組みです。

 

相続との違い

生前贈与と相続は、どちらも財産を受け取る行為ですが、大きな違いがあります。
生前贈与は、贈与者が生きている間に行われる行為です。
一方で相続は、財産を持っていたひとが亡くなった後に行われます。
生前贈与は贈与税、相続は相続税が中心となるため、税金の計算方法や控除額なども異なります。

 

生前贈与のメリット

生前贈与には、上手に活用すればさまざまな利点があります。

  • 相続税の節税につながる可能性がある
  • 財産の分配を自分の意思で決められる
  • 贈与後すぐに受け取ったひとが使える

それぞれ確認していきましょう。

 

相続税の節税につながる可能性がある

毎年少しずつ財産を贈与すれば、将来の相続財産を減らせます。
前述のように、贈与税には年間110万円の基礎控除があり、この枠内であれば贈与税がかかりません。
毎年110万円以内で贈与を繰り返し、数年かけて贈与を行う方法があります。

 

財産の分配を自分の意思で決められる

相続の場合、法律で相続人の範囲や割合が決まっています。
一方、生前贈与ならば、自分が望むひとに自由に財産を分けられます。
特定の孫に教育資金を贈りたい場合や、家業を継ぐ子どもに事業用資産を早めに渡しておきたい場合などに便利です。

 

贈与後すぐに受け取ったひとが使える

生前贈与は、贈与契約が成立した時点で効力を持つため、財産を受け取ったひとはすぐにその財産を使用できます。
教育や結婚、住宅取得など、人生のさまざまな場面で役立てられる点も魅力です。
一方で相続の場合、財産を受け取るのは被相続人が亡くなった後であり、相続手続きが完了するまでにはある程度の時間がかかります。
相続人の確定や遺産分割協議などの手続きを経る必要があるため、財産をすぐに使用できるとは限りません。

 

生前贈与のデメリット

生前贈与には多くの利点がありますが、注意すべき点もあります。
誤った運用をすると、思わぬトラブルや負担が発生する可能性もあります。

 

贈与税の負担が大きくなる可能性がある

贈与税と相続税は、どちらも累進課税であり、課税価格が大きいほど税率も高くなるものです。
ただし相続税は基礎控除が大きく、「3000万円+600万円×法定相続人の数」が非課税枠となります。
状況にもよりますが、同じ金額の財産を一度に渡す場合、贈与のほうが税負担が大きくなる可能性があります。

 

贈与契約の証拠が必要になる

生前贈与は、言葉だけの約束では証明が難しく、税務署に否認されるケースもあります。
確実に贈与を行うためには、贈与契約書を作成してください。
実際に財産の移転が行われているか(通帳の動きなど)も重要な証拠になります。

 

他の相続人とのトラブルになりやすい

生前贈与は、特定のひとに財産が偏ることもあるため、将来的な相続時に他の相続人との間でトラブルに発展するケースがあります。
「自分だけもらえなかった」「不公平だ」といった感情的な対立につながるリスクもあるため、贈与を行う際は家族全体でよく話し合うのが重要です。

 

活用できる制度と注意点

生前贈与には、特例制度や非課税制度も存在します。

 

相続時精算課税制度

生前に多額の贈与をした場合でも、相続時にまとめて課税して、贈与税の負担を抑える制度です。
贈与者が60歳以上、受贈者が18歳以上の子や孫であることが主な条件です。
同制度を利用すると、贈与時に2500万円までは贈与税がかかりませんが、一度選択すると元に戻せません。
また、将来の相続時に贈与分を含めて税金が計算されるため、慎重に検討する必要があります。

 

教育資金の一括贈与に関する非課税制度

30歳未満の子や孫に対して、教育資金として最大1500万円まで非課税で一括贈与が可能な制度です。
金融機関を通じて信託する形式を取る必要があります。
2023年に延長が決まり、2026年3月末までの運用となりました。

 

住宅取得資金の贈与に関する非課税措置

一定の条件を満たす住宅を購入する際、親や祖父母から贈与を受けた資金について非課税枠が設定されています。
非課税限度額は年度や住宅の種類によって異なり、省エネ住宅であれば1000万円、上記以外の場合は500万円となります。
こちらは、2026年12月末までの運用となります。

 

まとめ

今回は、生前贈与の基本的な仕組みと、メリット・デメリットについて解説しました。
生前贈与は、相続税対策や自分の意思に基づく財産分配の手段として有用です。
一方で、贈与税の負担や家族間のトラブルといったリスクも存在します。
制度を上手に活用するには、贈与額や方法、タイミングを慎重に検討し、必要に応じて税理士などの専門家に相談するのが重要です。