税理士法人森田事務所 > 記事一覧 > 代償分割とは? 代償分割時の相続税の計算方法も解説
代償分割は相続財産に分割が難しい財産が多い場合に特に有効ですが、相続税の計算方法やいくつかのリスクには注意が必要です。
本記事では、代償分割の仕組みや計算方法、注意点について解説していきます。
代償分割とは、遺産分割協議において、特定の相続人が主に不動産など分割が難しい財産を単独で取得する代わりに、他の共同相続人に対して、その取得分を超える金額を現金で支払うことによって、公平な遺産分割を実現する方法です。
この埋め合わせとして支払われる現金のことを代償金と呼びます。
代償分割は、相続財産に分割しにくい不動産が多く含まれる場合に、自宅や事業用の土地を売却することなく、円満な解決を図るための有効な手段として活用されます。
代償分割は、すべてのケースで有効なわけではありません。
この手法が特に効果的に機能し、相続人全員にとってメリットをもたらすのは、主に相続財産の性質や市場の状況に特定の要因がある場合です。
どういった場合に代償分割を選択するのが良いか、以下で確認していきましょう。
相続財産が、被相続人の自宅や事業用不動産など、分割が難しい不動産で大半を占めている場合に、代償分割は非常に有効です。
不動産を共有名義にすると、将来の売却や賃貸といった際に、トラブルの原因となります。
一方、代償分割を用いれば、不動産を必要とする特定の相続人が単独で所有し、他の相続人は代償金という形で比較的公平な金銭を受け取れるため、財産の共有状態を回避できます。
相続が発生した時点で、相続財産である不動産の市場価格が低迷している場合、すぐに売却すると安値で手放すことになり、相続人全員が損をしてしまう可能性があります。
このような場合、代償分割を活用し、不動産を単独相続した上で、市場価格が回復するのを待ってから売却するという戦略を取ることができます。
他の相続人には代償金を支払うことで、すぐに現金を渡すことができます。
代償分割が行われた場合、相続税の計算は、実際に現物を取得した割合ではなく、遺産分割協議で定められた代償金の授受を反映した後の最終的な取得財産の価額に基づいて行われます。
そのため、代償金を支払った人と受け取った人で相続税の計算方法が異なります。
それぞれ見ていきましょう。
代償金を支払った相続人は、以下の式に基づいて計算を行います。
(式)相続税評価額ー代償金額=課税対象額
このように、代償金を支払った相続人は、その額分、相続税の課税価格が減額されます。
たとえば、遺産分割協議で5000万円の不動産を単独で取得し、他の相続人に2000万円の代償金を支払った場合、その人の相続税の課税価格は、不動産の評価額から支払った代償金2000万円を差し引いた3000万円として計算されます。
代償金を受け取った相続人は、以下の式に順して計算を行います。
(式)相続税評価額+代償金額=課税対象額
このように、代償金を受け取った相続人は、受け取った額だけ相続税の課税価格が増加します。
たとえば、遺産分割協議で財産を一切取得しなかった代わりに2000万円の代償金を受け取った場合、その人の相続税の課税価格は、受け取った代償金2000万円として計算されます。
代償分割を実行する際には税務上および資金繰り上のリスクに注意が必要です。
特に、税務署に代償分割と認められず、通常の不動産売買と見なされてしまうリスクは避ける必要があります。
代償分割において、代償金の支払い財産として不動産などの現物財産を充てた場合、代償金を支払う側の相続人に所得税が発生する可能性があります。
これは、不動産を代償金として渡す行為が代物弁済と見なされ、不動産を時価で売却し、その売却益で代償金を支払ったと処理されるためです。
なお、代償金を現金で支払う場合は、原則所得税が発生することはありません。
代償分割の実行には、代償金を支払う側の相続人に、十分な現金または流動資産の準備が求められます。
特に取得する現物財産が高額である場合、支払う代償金の額も高額になることがあります。
代償金を用意するために金融機関から融資を受ける場合や、自身の他の財産を売却する必要が生じることもあります。
代償金の支払いが困難になった場合、遺産分割協議のやり直しや、トラブルの原因となるため、代償金の確実な調達計画を立てておくことが重要です。
代償分割は、相続財産に不動産など分割しにくい財産が多い場合に有効な遺産分割方法です。
また、相続税の計算においては、代償金を支払った側は課税価格が減額され、受け取った側は課税価格が増加します。
しかし、場合によっては所得税が発生するリスクや、代償金そのものの用意が困難になるリスクが伴います。
こういったリスクも加味して相続の方法を検討することが重要です。
その他、相続に関してお困りの場合は、専門の税理士にご相談ください。